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Web広告全般

パブリッシャーが知っておきたいITPとこれからのWeb広告

ADNOWAトピックス編集部のアイコンADNOWAトピックス編集部

公開日:2020年10月23日

iOS14でより厳格化したAppleのITP。ITPについてパブリッシャーが知っておきたい、対応できること、パブリッシャーが知っておくべきこれからのWeb広告についてまとめました。

ITPとは?

Appleが自社のOS・ブラウザに搭載している機能で、正式には「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」と呼ばれます。広告識別子である「IDFA(Identifier For Advertising)」の利用を制限し、ユーザーのプライバシーを守るための機能です。

簡単にいうと「アドネットワークがユーザーの行動データを取得できないようにする」機能で、ユーザーのプライバシー保護・ユーザー情報の漏洩リスクを軽減させるための機能です。

iOS13まではiOS・macOSのSafariに限定していた機能でしたが、iOS14からはSafari以外のブラウザアプリや、アプリ内ブラウザ機能にもITPが適用されるようになりました。macOSについても、Big SurからはiOSとの統合へと進んでいるため、同じ傾向にあると考えて良いでしょう。

これにより、ユーザーの行動履歴や興味関心をサードパーティ(広告ネットワーク)が取得することがさらに厳しくなっています。

パブリッシャーで起こるITPの影響

リマーケティング広告のCTRの低下

自サイトとは別のECサイトで見た商品をバナーに表示させる、いわゆるリマーケティング広告が一定割合で表示されるアドネットワークを利用している場合は、それらの広告が配信されない・表示される商品に関連性が低くなることで、広告のCTR低下が予想されます。

これは、

  • Google Adsense
  • Yahoo!広告
  • アプリ向け広告ネットワーク

などに影響が出るでしょう。

成果報酬型広告では計測漏れが出る可能性も

ITPはCookieの利用を制限する機能でもあるので、Cookieで成果の有無を計測している成果報酬型広告では成果の計測漏れが発生する可能性があります。

特に日本ではiPhoneのユーザー割合が半数を超えているとも言われているため、影響はかなり大きくなります。

ここは、パブリッシャーとしてできることは少なく、アフィリエイトASP側の対応次第になります。各ASP、ITPの影響を受けないトラッキング方法を開発し、順次導入しているので、そちらの対応を待つことになるでしょう。

大きく影響を受けるのは「再訪問」

成果報酬型広告の場合、一度ECサイトに送客すると、30日などの再訪問期間が設定されていて、その期間中の買い物については全て成果になる仕様が通常です。

しかし、ITPによって再訪問をトラッキングすることが難しくなるため、今後は成果報酬型広告の再訪問が計測されない・除外されるという傾向になる可能性があります。

パブリッシャーで出来るITPの対策

Web広告の計測に関しては、突破が不可能に近い技術的な壁があるため、パブリッシャーが出来ることは基本的にはありません。あるとすれば、広告ネットワークの対応情報をしっかりとフォローして、出された対応方法を速やかに実行するだけです。

一方で、もっと根本的なところでは、アドネットワーク広告以外の収入源を作るというのが最大のITP対策になるかもしれません。

同じ広告でも、記事広告や固定費広告などはITPの影響を受けませんから、よりサイトのブランディングが重要になるとも言えます。

Web広告の変革期を到来させたITP

これまで、Web開発者界隈では「Cookieは危険」「Cookieはなるべく使うな」というのが暗黙の了解でしたが、広告業界ではCookieによって得られるユーザー行動情報の広告効果が抜群だったため、危険やユーザーのプライバシー保護を見ないことにしていた傾向がありました。

今回、AppleというWebやアプリにアクセスする端末ベンダーとして巨大なプレイヤーが動いたことで、大きな変革期になっていることは間違いないでしょう。

ここからWeb広告がどう変わるかは先5年くらいでわかることですが、Webサイトの収益の多面化など、これまで広告一本だったパブリッシャーにも変革が迫られているのかもしれません。

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